Ciudad de Bosque since 2001

星と音楽をテーマにした文化情報発信都市 

街中の星雲写真


 天体写真は、別に夜空の綺麗な場所でないといけないわけではなく、明るい月や惑星は自宅で十分綺麗に写せます。 真っ暗な環境に自宅がある人はともかく、私も含め一般のサラリーマンでしたら職場に通える光害地に住居があると思いますので、 自宅で月や惑星を撮影し、遠征で星雲や星団を写すやり方が、時間を最も有効に使える方法だと思います。

 このコーナーでは、街中では撮影対象になりにくい『星雲』に敢えてスポットを当ててみます。 光害のある街中では『光害カットフィルター』が必須で、赤い星雲を写すなら天体用の改造カメラも欲しいところです。 ISOを小さく設定し、光がかぶるギリギリまで露出してから何枚も重ねてコンポジットし、 星雲をいかにあぶり出すかがコツかなあと思っています。

 さらに、自宅での撮影は北極星が見えると良いのですが、なかなか屋上や北側に広いベランダのある家はないですよね。 我が家もそうですが、こんな場合は、アライメント機能のある赤道儀が非常に役に立ちます。 赤道儀の値段自体は高いのですが、自宅の撮影機会が増えるということは、その分だけ機材の活用機会も増えるということですし、 遠征の回数も減らせられ、経済効果は高いと思います。ここの写真はいずれもビクセン製のSXD2赤道儀を利用しています。

 露出中に温かいお部屋でお酒を飲みながら・・・という撮影スタイルも魅力ですよ(笑)

街中&満月のオリオン大星雲
2014年2月15日(土)22時26分〜23時03分、タカハシFS60CB×ビクセンSXD2赤道儀×NikonD5200、総露出36分、自宅ベランダにて撮影。

 オリオン大星雲は、明るいので街中でも十分写ります。ですので、別ページにある本編の天体写真も街中の写真を採用していますが、 この写真ではさらにストイックに(笑)、満月の月光がバリバリ当たっている日に撮影しています。 写真は改造カメラを使っていますが、無改造でも十分写る星雲です。 要するに、オリオン大星雲は場所も月齢も機材も気にせずいつでも気軽に撮影できる好対象です。

街中の馬頭星雲&火炎星雲
2014年2月21日(火)19時57分〜20時21分、タカハシFS60CB×ビクセンSXD2赤道儀×NikonD5200、総露出22分、自宅ベランダにて撮影。

 馬頭星雲は、さほど暗い星雲ではないのですが、この赤さから無改造カメラではことごとく写りません。 最低でも改造カメラが欲しいところです。ただし、無改造カメラしかない場合でも、上に位置する『火炎星雲』は良く写りますので、 火炎星雲を撮影対象に絞ってみてもいいかもしれませんね。

街中のバラ星雲
2014年2月21日(火)23時11分〜23時18分、タカハシFS60CB×ビクセンSXD2赤道儀×NikonD5200、総露出7分、自宅ベランダにて撮影。


 バラ星雲は、非常に淡くて広がった星雲ですので、特に街中では難易度の高い対象です。
 この星雲も赤いので、高級なカメラというよりは、安くても改造した一眼レフカメラが必須だと思います。 この写真は総露出7分ですので、細かい色の違いをアブリ出すには、本当ならこの5倍ぐらいはかけたいところでしょうか。

街中の黒眼星雲
2014年4月5日(土)00時20分〜00時30分、タカハシFC100DF×ビクセンSXD2赤道儀×NikonD5200、総露出5.7分、自宅ベランダにて撮影。


 黒眼星雲は、M64というメシエ天体の有名な系外銀河で、かみのけ座に位置します。 実際は1600万光年も離れた場所にあります。 名前の由来は、写真で見ると明らかですが、中央に黒い眼のような暗黒領域があります。
 さて写真ですが、非常に小さな星雲ですので、かなりトリミング処理をしています。 土台が強固な場所で、極軸が正確に合わせられる条件があれば、 GS200RCMを使った長焦点の撮影にも挑戦してみたいと思います。
 とりあえず自宅は揺れのある木造のベランダですし、北極星も見えませんので、20秒露光を10分間連写しました。 あいにく、春の嵐が吹き荒れており、そのうちの5.7分(17コマ)のみコンポジットしています。 この星雲のような系外銀河も『光害カットフィルター』は必須ですが、天体改造のカメラまでは必要としません。

街中のソンブレロ銀河
2014年4月5日(土)00時35分〜00時50分、タカハシFC100DF×ビクセンSXD2赤道儀×NikonD5200、総露出6.7分、自宅ベランダにて撮影。


 ソンブレロ銀河は、M104というこれまたメシエ天体の有名な系外銀河で、おとめ座に位置します。 上の黒眼星雲よりさらに遠く、4600万光年も離れた場所にあります。 名前の由来は、メキシコの『ソンブレロ帽子』に似ているところからきています。
 これも黒眼星雲と同じ日に写しました。20秒露光を15分間連写しました。 やはり春の嵐が吹き荒れてブレてしまったコマが多く、使い物になる6.7分(20コマ)のみコンポジットしています。

しし座の三つ子銀河
2014年4月4〜5日(土)23時54分〜0時10分、タカハシFC100DF×ビクセンSXD2赤道儀×NikonD5200、総露出6.3分、自宅ベランダにて撮影。


 しし座の足元に位置するM65、M66、NGC 3628の系外銀河は、その並び方で三つ子銀河と呼ばれています。 ひとつひとつの銀河はとても小さくて、大きな望遠鏡でないと迫力のある写真は撮れませんが、 こうしてこの銀河群をひとまとめにして撮る場合は、FC100DFのような中焦点域の望遠鏡の好対象となります。